カラスを知りカラス対策に活かす

コラム10 根本的なカラス対策

この記事を書いたのは

代表取締役 塚原 直樹

博士(農学)

宇都宮大学特任助教

群馬県桐生高校卒業。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、 総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋17年。

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根本的なカラス対策

本連載の最後では、カラスとの共存を見据えた根本的なカラス対策を提案したい。

これまで紹介した追い払いや侵入防止などの被害対策は、その場しのぎの対症療法でしかない。根本的にカラスとヒトの間の摩擦を軽減するためには、カラスの個体数を減らす必要がある。その方法として真っ先に思いつくのは、罠や猟銃による捕獲駆除だろう。しかし、カラスは賢く、警戒心が強いため、捕獲すること自体が難しい。

見方を変えて、カラスの個体数が何で決まっているのか考えてみよう。カラスは1年に3-5個の卵を産み、平均して2.5羽程度が巣立つ。全てのカラスがペアを作って繁殖し、親と巣立った子が翌年まで生き延びれば、個体数は1年間で倍以上になる。この調子で行けば、十数年で日本はカラスに覆われてしまうはずだが、そんなことはない。実は、餌が少ない冬に多くの個体が餓死するため、個体数がほぼ一定に抑えられているのだ。言い方を換えれば、カラスの個体数を決めているのは冬の餌の量だ。そこで、カラスの個体数を減らすには、冬にカラスの餌を減らすことが効果的だと考えられる。

そこで筆者らは、「無自覚な餌付けストップキャンペーン」を提案している。カラスの餌が少なくなる冬に、餌資源を徹底的に管理する市民参加型のキャンペーンだ。ゴミをしっかりと管理する、農地に放置された農作物を土に埋める、収穫しない果実を摘果するといったことにより、餌の量を出来る限り減らすのだ。これらを1年中実施するのは大変であるが、本キャンペーンは1週間のみの実施を想定している。というのも、カラスは代謝が高く、1週間も食べなければ餓死すると考えられるからである。なお、空を飛ぶカラスにとって市町村の区分はお構い無しだ。一部の地域だけでキャンペーンを行っても、期間中だけカラスは近隣の別の地域に移動して餌を確保してしまうかもしれない。国や県が主導し、広域で一斉にキャンペーンを実施することが効果的だ。

このような取り組みは、成果が出るまでに何年もの時間がかかる。一方、被害に遭っている現場では待った無しの状況だ。これまで紹介した「カカシ効果」を利用する対策で対症療法的に被害を防ぎつつ、根本解決のために個体数減少を目的として餌資源を管理することが重要である。

本コラムは、農業共済新聞2019年12月3週号に掲載された内容を転載しております(一部修正している場合があります)。
紙面は以下よりダウンロードできます。

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代表取締役 塚原 直樹

博士(農学)

宇都宮大学特任助教

群馬県桐生高校卒業。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、 総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋17年。

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コラム一覧

コラム1「カカシ効果とは?」
コラム2「カラスが嫌いな色はあるのか?黄色が嫌いは本当?」
コラム3「カラスの嗅覚は?カラスが嫌がる臭いはあるのか?」
コラム4「カラスは目が良い?優れた視覚をもつカラス」
コラム5「カラス被害と対策の現場」
コラム6「カラスの五感」
コラム7「カラスの習性を利用したカラス対策 その1」
コラム8「カラスの習性を利用したカラス対策 その2」
コラム9「カラスの知られざるおもしろ生態」
コラム10「根本的なカラス対策」

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