カラスを知りカラス対策に活かす

コラム17「VSカラス① 被害軽減の心構え~食べ物を獲得させない~」

この記事を書いたのは

代表取締役 塚原 直樹

博士(農学)

宇都宮大学特任助教

群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』

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カラスによる農作物や畜産施設への被害

農林水産省によると、カラスによる全国の農作物の被害額はここ数年13億~14億円で推移している。年による変動は少ないが、局所的に大きな被害をもたらすことがある。収穫予定の前日に数十羽のカラスが飛来し、熟した果実を食べ尽くされ、廃業を決意した農家もいるほどだ。
畜産現場での被害も深刻だ。家畜の飼料を食べる他、牛の乳房の血管を突いて失血死させるといった例もある(写真は背中をカラスにつつかれた牛)。最も甚大な被害をもたらすのは、家畜の全頭処分につながる特定家畜伝染病の伝播だ。高病原性鳥インフルエンザのようにカラス自身が感染する伝染病以外にも、口蹄疫や豚熱のように足裏にウイルスを付着させて、運ぶ例もある。

どうすれば被害を軽減できるのか?

被害を防ぐ対策もさまざまあるが、一度実施すれば半永久的に効果が続くというものはない。最も有効な手段は、ネットを張るなど物理的に侵入を防ぐ対策だが、資材の劣化に伴うメンテナンスは不可欠。それ以外の光や音などの脅しの類の対策は、効果はほぼ一時的だ。
では、なすすべはないのか。いや、カラスの生態を正しく理解し、適切な対策を行えば、被害の軽減は可能だ。まず大切なのは、カラスがなぜ農業現場に飛来するのかを理解すること。その理由は単純で、そこに魅力的な食べ物があるからだ。
農業現場には、糖度の高い果実や栄養価の高い飼料など自然界では得難い物が多く、多少の危険を冒してもそれらを得ようとする。また、労せずにそれらを得られるため、良い餌場と認識し、頻繁・執拗に飛来する。
実は、この点の改善、つまり、簡単に食べ物を獲得させないことが、カラス対策には重要なのだ。その視点を踏まえ、本掲載では、農業現場での被害軽減の一助になるよう、適切な対策やカラスの生態を「コラム18」以降で紹介したい。

本コラムは、日本農業新聞2024年11月1日号に掲載された内容を転載しております(一部修正している場合があります)。

カラスの生態をもっと詳しく知りたい方に

CrowLab代表の塚原の著書『カラスをだます』では、身近だけど意外と知られていない、誤解されているカラスの生態や、また身近なもので今すぐできるカラス対策なども紹介してますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いたのは

代表取締役 塚原 直樹

博士(農学)

宇都宮大学特任助教

群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』

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コラム一覧

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コラム2「カラスが嫌いな色はあるのか?黄色が嫌いは本当?」
コラム3「カラスの嗅覚は?カラスが嫌がる臭いはあるのか?」
コラム4「カラスは目が良い?優れた視覚をもつカラス」
コラム5「カラス被害と対策の現場」
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コラム7「カラスの習性を利用したカラス対策 その1」
コラム8「カラスの習性を利用したカラス対策 その2」
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コラム12「カラス基礎知識〜日本のカラス、好み、一日、一年、一生〜」
コラム13「カラスの保護について」
コラム14「カラスの音声コミュニケーション」
コラム15「カラスの営巣・産卵・孵化」
コラム16「カラスに襲われた?カラスの威嚇に伴う怪我等を防ぐには?」
コラム17「VSカラス① 被害軽減の心構え~食べ物を獲得させない~」
コラム18「VSカラス② 食料求め飛来~午前中は特に注意を~」
コラム19「VSカラス③ 冬に飼料被害~侵入防止と清掃徹底を~」
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