カラスとヒトとの摩擦 ~なぜ農業現場に飛来するのか~

コラム28「ストップ鳥獣害⑤ 感染源としてカラスは脅威的存在」

この記事を書いたのは

代表取締役 塚原 直樹

博士(農学)

宇都宮大学特任助教

群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』

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カラスと高病原性鳥インフルエンザの関係

養鶏場に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスが持ち込まれる要因は、野生動物・ヒト・車両の往来などだ。HPAI発生農場で、敷地内のカラスから発生例と同一系統ウイルスの検出事例もあり、カラスは感染源の一つと考えられている。
国内のHPAIウイルスの主な侵入経路は渡り鳥とされている。その中でも、カモ・ガン・ハクチョウなどの水禽類はHPAIウイルスの陽性例が多い。カラスは動物の死体を食べることから、感染した水禽類の摂食で、感染する例もあると考えられる。また、カラスは共食いをする。特に冬など食物資源が乏しい季節は、貴重なタンパク源となる。結果、共食いでカラス間の感染が広がることも考えられる。

カラスが養鶏場にもたらすリスク

GPSを用いたカラスの移動経路を調べた研究によると、同一個体が複数の畜産施設を移動していることが確認されている(写真は堆肥施設に飛来する多数のカラス)。農場内の家畜の飼料や堆肥場に廃棄された卵など、栄養価の高い食物資源が豊富な養鶏場は、カラスにとって魅力的な餌場であり、毎日の巡回ルートになる可能性が高い。その結果、HPAIウイルスを複数の養鶏場へと拡散させている可能性も考えられる。

HPAIウイルスとカラスの新たな脅威

北海道大学の迫田義博教授らによると、ここ数年流行しているHPAIウイルスは、以前に比べ、カラスの体内で増殖しやすくなった可能性があるという。また、HPAIで死んだ1羽のカラスには、1万羽のニワトリを死に至らしめるほどの大量のウイルスが存在するとも言及している。
なお、日本国内におけるHPAIの発生時期は、これまで10月から4月と考えられていた。ところが、5月に野鳥での感染例が報告されるなど、発生シーズンが長期化する傾向も見られる。変異によりカラスの体内でウイルスが増殖しやすくなった上、カラスは1年中国内にいる留鳥であることから、HPAIのオフシーズンにおいても注意すべき存在だ。
これらのHPAIとカラスとの関係を踏まえ、「コラム29」では地域でのカラス対策を紹介する。

本コラムは、全国農業新聞2025年7月11日号に掲載された内容を転載しております(一部修正している場合があります)。

カラスの生態をもっと詳しく知りたい方に

CrowLab代表の塚原の著書『カラスをだます』では、身近だけど意外と知られていない、誤解されているカラスの生態や、また身近なもので今すぐできるカラス対策なども紹介してますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いたのは

代表取締役 塚原 直樹

博士(農学)

宇都宮大学特任助教

群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』

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コラム一覧

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コラム28「ストップ鳥獣害⑤ 感染源としてカラスは脅威的存在」
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